第2章 朔
「ありがとう、しーちゃん」
「ん?」
「楽しかった、すごく、楽しかった」
澪たちを送った帰り。
アパートに帰っちゃうのがもったいなくて。
繋いだ手を話すのが寂しくて。
アパートの駐車場に着いてからも。
シートベルトだけを外して、なかなかしーちゃんの車から降りれない。
「うん、花の笑った顔、たくさん見れて俺も楽しかった」
「………………っ」
「ほんと、分かりやすい反応」
「し、しーちゃんは花で遊びすぎだよっ?」
真っ赤になった顔を隠そうと、繋いだ右手を離そうとすると。
ぎゅっと、力強く握られた。
「?」
「まだ、帰らなくてもいーよな?」
「え?」
「もう少し、一緒にいたい」
「………………っ」
「だめ?」
な、に、これ。
なんかの、どっきり、とか?
その甘い声、どーやって出してるの?
「……………だめじゃ、ない、です」
「じゃ、ドライブでも行く?」
「え?」
「ん?」
「あ、部屋に行くのかと、思ってた、から」
「部屋いったら、襲わない自信ないけど、いいの?」
「ドライブが、いいです」
「了解」
思いきり笑いながら、しーちゃんはハンドルを片手できって、車をバックさせた。