第2章 朔
「遊ばないよ」
しーちゃんの、返ってくる言葉が怖くて、握られた右手に力を入れた。
と同時に。
しーちゃんの声が、降ってきて。
想像と違う言葉に、思わずしーちゃんを見上げた。
「なんでビックリしてんの?花が言ったんじゃん」
ぽんぽん、て、頭を撫でてくれる手が、すごく優しい。
「最近、しーちゃん、花のゆうことなんでも聞いてくれるね、なんで?」
「そう?」
指輪も、動物園も。
なんだか、怖いくらいにしーちゃんが優しい。
「花が、好きだからじゃない?」
しーちゃんにとってはただの単語でも。
花にとっては時限爆弾並の威力があるんだよ。
時限爆弾、って。
きっと時間がきたらすぐに爆発してなくなっちゃうって。
わかってるけど。
爆発に巻き込まれて死んじゃってもいいくらい。
この時限爆弾の投下は、花にとっては大事な、大切なもの、だったよ。