第2章 朔
「しーちゃん、自分がモテるの、自覚してるよね」
「は?」
「女の子落とすとき、そーやって笑いかけるの?」
ぱっと。
視線をしーちゃんから地面にうつすと。
「妬いてんの?」
意地悪そうに笑う声が、降ってくる。
「花よりかわいい子なんていないから、心配しなくていいよ」
「また、そんなこと……っ。別に、しーちゃんが誰と何してても………」
「いいの?」
「え?」
「俺が、誰と何してても、いいの?」
しーちゃんの、隣にいられたらそれだけでよかった。
彼女になりたいとか。
彼女と別れて、とか。
他の女と遊ばないで、とか。
そんなことは、どーでもよくて。
どんな形でも、しーちゃんのそばにいられたらそれだけでよかった。
ほんと、それだけだったんだよ。
いつから、欲張りになったのかな。
しーちゃんのそばにいられるようになったら、しーちゃんの特別になりたくなって。
しーちゃんの、心まで欲しくなって。
しーちゃんの、全部が欲しくなる。
「やだ」
どこまで欲張りになっていくのかな。
しーちゃんの心まで、なんておこがましいこと、願ってもいいの?
「他の女となんて、遊ばないで」
なんて、彼女でもないのに、しーちゃんを縛ってもいいの?
そんなこといったら、しーちゃんはうざいかな。
怒るかな。