第2章 朔
「そんなに嬉しい?」
「え?」
「これ」
可笑しそうに笑うしーちゃんに、きょとん、と首を傾げると。
繋いだ手を少しだけ上にあげて、にっこりとしーちゃんが笑った。
「そんなに、手繋ぎたかった?」
「え?」
「今、花すっげーかわいい」
ストレートに投げられた言葉に、思わず顔中に全身の血液が流れ込んだ。
「言わなくてもしーちゃんならわかるでしょ?」
「わかんねぇ。じゃ、離していい?」
「え」
力の抜けたしーちゃんの左手を。
「やだ」
ぎゅっと慌ててつかんだ。
「…………繋ぎたかった」
「うん」
「しーちゃんと、こうやって歩きたかった、です」
うつむいて、それだけ言って。
だけど。
無反応なしーちゃんに少しだけ不安になって、ゆっくりとしーちゃんを見上げると。
目を細めてしーちゃんがふっ、て、笑った。
「知ってる」
その笑顔、反則。
そんな顔して笑いかけないで。
そんな瞳で、見ないで。
好きが、止まらないよ。