第2章 朔
ケラケラ笑ってるしーちゃんから視線をはずせない。
なに、言ってるの?
それは。
どーとれば、いいの?
「花?」
「あ」
しーちゃんから視線をはずさない花に気付いたしーちゃんが、視線を絡ませてくる。
「うん」
慌てて、笑顔。
「そうだね」
「花、いいたいことはちゃんといいなよ?もう、こんな最低なのさっさと花から振っちゃえば」
「花から?花から、は、無理かなぁ?しーちゃんが花のこといらなくなったら、考える」
「そんな日来ないよ」
ぽんぽんて。
頭を撫でられると、なんでもよくなっちゃうから不思議。
しーちゃんが隣にいる。
それだけでいい、かな。
他にはなにも、望まないよ。
「こんなかわいい花、誰にも渡す気ないし」
「じゃ、さっさと別れて花だけにしなよ」
「考え中?」
「ほんと、最低だね」
あはは、と笑いながら。
「花、アイス食べる?」
って、手を差し出すしーちゃんに。
「食べる!」
笑顔で、その手をとった。
これ以上隙間ないくらいにくっついて、手を絡ませると。
不思議そうにしーちゃんが上から花を見下ろした。
「だめ?」
ちょっとだけ離れがちに、しーちゃんを見上げる。
やっぱり、だめ、かな。
外では、手を繋いだりくっついたりしちゃだめって、前にしーちゃんに言われた。
でも、さっきしーちゃんから手を差し出してくれたから。
不安そうに見上げると、しーちゃんはふ、って、目を細めて笑いながら。
「だめじゃないよ」
繋いだ左手に力を入れて、引き寄せてくれた。