第1章 夜暁
「今日、大丈夫だった?仕事」
「大丈夫なわけないじゃん、眠くて眠くて大変だったよ?」
「はは、ごめんな」
彼が買ってきてくれた夕食を平らげて。
食後のコーヒーを、彼のそばに置いた。
「だからこうして、買ってきてやったじゃん、夕飯。作んの花大変かなって思ったから」
「うん、ありがとしーちゃん」
自分のコーヒーを作りにキッチンに向かおうとした私を後ろから引き寄せて、頭のてっぺんにキスをくれる、彼。
「花はかわいいな、やっぱ」
そのまま私はしーちゃんの腕の中だ。
覆い被さるようにお腹へと回された彼の逞しい腕に、自分の指を絡めて。
「花、しーちゃんの好みになれた?」
抱き締められたまま、後ろを見上げれば。
にっこりと微笑む大好きなしーちゃんの笑顔。
「なれたなれた」
「よかったぁ」
後頭部をわざと彼の胸板にくっつけると。
彼は当然のように、私のうなじに口づけを落とした。
「疲れてる?」
「んーん」
「そっか」
彼に求められるのは、大好き。
彼に必要にされてるって思えるから。