第2章 朔
「動物園?」
「そう。澪たちが行こうって」
「いいよ」
「いいの?」
「行きたいんでしょ?」
「行きたい!」
「花、好きそうだもんな、動物園」
「うん、好き」
しーちゃんと行けるなら、どこでも大好きだよ?
「いつ?」
「しーちゃんは、いつなら大丈夫?」
「んー、別に、日曜日なら仕事休みだし、行けるよ」
「日曜日は、彼女じゃなくていいの?」
「大丈夫だよ。最近、上手くいってないし」
「いってないの?」
「うん。花といる方がたのしー」
3年間、毎日毎日会ってた大好きな大好きな彼女。
しーちゃんの態度が変わったことくらい、花、気付いてるよ?
もう半年くらい、しーちゃんは彼女の愚痴を言わなくなった。
「別れるの?」
「別れたいんだけど」
「しーちゃん、甘やかしすぎたもんね」
「俺も、ちょっとそれ後悔してる」
ピタッと隙間なくしーちゃんにくっつくと、しーちゃんも花の肩に手を回して抱き寄せてくれた。
「花とも一回付き合っちゃおうかな」
「えー?」
「花といると、居心地いーし」
「花も、しーちゃんの隣にいるの大好きだよ?」
「知ってる」
急に変わった声色に、隣に座るしーちゃんを見上げると。
軽いキスが、降ってきた。
「花は、俺なしじゃ生きてけないもんな?」
「そんなことないよ?」
「生きてけるの?」
「んー、やっぱり、無理かなぁ」
「なんだよ、それ」
「しーちゃんは、花いなくても生きていけるよね?」
「花いないと俺死んじゃう」
「ほんとにー?」
「花、大好きだもん」
「花も、しーちゃん大好き」