第2章 朔
「好きなんでしょ?」
「よくわかんねぇ」
だって昨日、彼女からの電話のあと、すごく愛しそうな表情してたよ。
1度も振り返んないで行っちゃったじゃん。
彼女に早く、会いたかったんでしょ?
電話してる時のしーちゃん。
すごくすごく…………。
可愛かったよ。
あんな顔、花に見せてくれたこと、ない。
「結婚は、無理」
黙ってしーちゃんの横顔を見つめてると。
「結婚するなら、花とがいいな」
チラッと横目で花を見て、そうしーちゃんが笑った。
「花も」
にっこりと、しーちゃんに合わせて花も笑う。
「あんたたちのは本気か冗談か、わかりずらい」
「本気だよ?」
「俺も」
いいよ。
わからなくて。
だって花にもよくわかんないもん。
境界線なんてとっくに、そんなのなくなってた。
そこで線引きしちゃったら、全部冗談にしちゃったら。
花としーちゃんの関係全てが終わる。
本気の冗談。
花、ほんとは本気で思ってるよ。
しーちゃんと結婚したい。
ずっとずっとしーちゃんのそばにいたい。
だけど。
この関係はおままごと。
所詮、偽物の中だけの恋人同士なんだ。
本気というおままごとの中の、冗談(偽物)。