第2章 朔
「なんであたしに連絡して来なかったの?」
「だって澪も花火デート中でしょ?」
「だからじゃん。一緒にいたのに」
「邪魔できないよぉ、さすがに」
「花はなんかあるとあたしに連絡してくるじゃん。なんで昨日してこなかったの?」
「だから、邪魔しちゃ悪いし」
「花はそんなこと考えないでしょ」
「………………それも、酷くない」
「連絡してこないなんておかしいでしょ。なんかあったの?」
「ないよ、大丈夫」
「花」
「ほんと、ないよ」
ほんと、澪は勘がよくて困る。
見たくなかったんだ。
幸せそうなふたり、見たくなかったの。
愛されてる澪が羨ましくて。
自分が惨めで。
嫌だった。
しーちゃんが好き。
大好き。
しーちゃんが手にはいるならなんにも要らない。
なんでもする。
何度も何度も神様にだってお願いしたもん。
ほんとに大好きなの。
花が一番誰よりもしーちゃんを愛してる。
ケンカばっかりする彼女なんかより。
しーちゃんを幸せにできるよ。
わがままな彼女なんかより。
花ならしーちゃんのどんなわがままでも聞くよ。
神様。
しーちゃんの心、花にちょーだい。