• テキストサイズ

依存愛-彼と過ごした3000日-

第2章 朔



「………………」

「………………」


お互いに、動きを止める。



頭上では、本日一発目の、花火が上がったところだった。


「出て、いいよ?」

「……………ああ」





握られていた右手が、離れてく。

まだ、しーちゃんの手の温もり残ってるのに。

さっきまで、あんなに楽しかったのに。



回りを見れば。

幸せそうな恋人たち。

花たちも、こんな風に見えてる?

『恋人同士』に、見える?


花火がゆっくりと上がるのを見ながら。


幸せの時間が終わるカウントダウンが、始まるのを感じてた。



「ごめん、花。ばーちゃんが入院したみたいで、着替えとか持ってかなきゃいけなくなった」

「そっか、大変だね」

「花、一人で大丈夫?」

「澪に連絡してみるから、大丈夫だよ?」


「ほんと、ごめんな?」




笑顔で手を振って、しーちゃんの後ろ姿を見送るけど。
しーちゃんは1回も花を振り返ることはなかった。


/ 256ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp