第2章 朔
「花、もう少し飲む?」
「や………………っ、それ、嫌い」
両手を口の前に持ってきて阻止しようとするけど。
そんな抵抗なんて、簡単にねじ伏せられた。
強引に開かされた唇から、意志とは関係なく流し込まれた液体を。
コクリと喉を鳴らして飲み込んだのを確認すると。
「今度はちゃんと飲めた?」
そう言って、しーちゃんは意地悪く笑った。
「これ…………っ、苦いの、やだ」
喉が、焼けるんじゃないかってくらい、熱い。
「しーちゃ、熱い」
呼吸が落ち着かなくて、苦しいのに、気分なんていいはず、ない。
「花」
熱い。
顔も、手足も。
見上げるしーちゃんの顔も、霞んで見える。
「俺のゆーこと、聞けないの?」
体を仰向けにするのが辛くて、横になってすぐに丸くなる花を、そんなしーちゃんの声が、一気に現実に引き戻す。
「………………っ」
「花?」
「だって、熱い………、しーちゃん」