第1章 夜暁
「…………………」
じと、っと。
頭一個分くらいは大きい親友を睨み見れば。
「素直だねぇ」
なんて。
にやにやした顔が、見下ろしてきた。
「ずいぶんと疲れてんじゃない?」
着替えを終えた彼女もまた、ロッカーを閉めて。
更衣室を出る私の隣を歩きながら、今度は心配そうに。
そう、聞いてきた。
「今日」
「?」
「ついさっきまで、一緒にいたの」
「…………………は?」
「……………そんな顔、しないで」
どんなに体が重くても。
どんなに寝不足だろうとも。
社会に出れば、体が動く限りは出勤しないといけない。
学生と違って。
常に『責任』ってやつが重くのしかかってくるわけで。
遊んでばかりもいられないのが現実だ。