第2章 朔
「え」
しーちゃんの体重分軽くなったベッドのスプリングが、ぎしって、きしんだ。
ドアのあく音と、隣の部屋から澪たちの話声。
さっき頭ふったせいかな。
気持ち悪。
トイレ行って吐きたいけど、正直、体を動かせる自信、ない。
「…………………」
このまま。
寝ちゃおっか。
たぶん瞼閉じたら睡魔に引き込まれるまで1秒かかんないと思う。
ごめん、しーちゃん。
今日は無理。
体調も、環境も。
何もかもが最悪だもん。
「……………ごめ……」
しーちゃん。
言い終わる前に瞼を閉じれば。
案の定すぐに引っ張られていく意識。
「花?」
しーちゃん、の、声。
しーちゃんの声がするのに、意識が落ちそう。
ごめんしーちゃん。
もう瞼、開かないよ。
「花、寝ちゃだめ」
「……………ん」