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依存愛-彼と過ごした3000日-

第2章 朔


「大丈夫?花」

「………………へー、き」


全力疾走した後みたいに動きの早い心臓以外は。
たぶん、いたって元気。


「誕生日、おめでとう、花」
「ありがとう」


両手をしーちゃんの首に回して抱き締めたいのに、体が全然動かない。
指先でさえ、言うことを聞いてくれない。


「ねぇ、花?」
「ん?」
「しよっか」
「え?」


「隣、まだ澪たち起きてるから、声我慢できる?」


「しー、ちゃ?」


働かない思考回路でも、しーちゃんの言葉の意味くらいは、理解できた。


一気に、酔いが覚めてくる。


「しーちゃん、無理。澪たちいるのに、無理だよ」

「さっきは、澪の前で自分からキスしてきたのに?」

「あ……………れ、は…………っ」


たぶん、酔ってた、から?
だんだん覚醒してきた意識では、絶対に、無理だよ。
いや、酔い潰れて記憶なくしてたとしても、絶対に無理。

「お酒入ってるし、いい感じに出来上がってる花がいて、襲わない方が無理じゃん?」

「しーちゃ、お願いほんと無理」



思いきり頭を横にふると、それだけでクラクラする。


「そんなふったら、余計まわるよ?」


「………………クラクラ、する」


動かせるようになった手足を動かして。
横向いて丸くなると、少しだけ楽になった。


「じゃ、もっと飲んじゃおっか?」



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