第2章 朔
「結城!」
「何」
強引にベリっと、音がするくらいに引き剥がされると。
不機嫌なしーちゃんの声。
「花に触んないで‼」
「は?無理………ってか、帰んないの?」
「結城の家じゃないでしょ!」
「とまんの」
「泊まるよ‼花はあたしと寝るの」
まだふわふわ頭の中が浮いてる。
意識、引き込まれそう。
「は?冗談だろ?空気読んで帰れよ」
やばい。
ふたりの声が遠い。
「修、花、も、寝そう。寝室連れてけよ」
「はいはい」
体が浮いてるのか、頭の中が浮いてるのか、わかんない。
ただ、ふわふわする。
「ちょっと、結城」
「うるせー、亘、嫁うるさい」
もう眠い。
ふわふわ体が浮いてるの。
こんな気持ちいいのに、しーちゃんの匂いする。
しーちゃんの声がすぐ近くに聞こえる。
すごく最高の子守唄じゃない?
寝るな、なんて無理。