第2章 朔
「花、お前、目、座ってるけど」
「えぇ?」
「ジュースで酔った?」
花が飲んでるの、オレンジジュースだし。
酔うわけないよね。
でも。
確かに、変な感じする。
「修」
「なに?」
「お前、花になんかした?」
藤崎さんに誘導されて、カウンターにある長椅子に座り込んだ花に、みんなの視線が来てるの感じる。
「花、大丈夫?」
「へーきだよ?」
花と視線を合わせるため座り込んだ澪は。
たったままこっちを見てるしーちゃんに視線をうつすと。
「結城、なにした?」
と、思いきりしーちゃんを睨み飛ばした。
「ハタチのお祝いを、少し」
「は?」
「まさかお前、やっぱりこれ酒入ってんの?」
「なに、やっぱりって」
「さっき花にこれジュース?って聞かれたけど、飲んでも酒の味しなかったから、そのまま渡した」
「はぁ?」
「味見程度だよ、入れたの」
「なに入れたの?」
「ウォッカ」
「はぁ?やっぱ結城、あんた1回死んできて」
みんなの声が遠くで聞こえる。
けど。
「花?悪い、気分悪い?」
しーちゃんがこんなに近くにいるのに、気分なんて悪いわけないよ。
「しーちゃん、大好き」
目の前に映し出された大好きな人の顔に、にっこりと微笑んで。
くちびるに、愛を伝えた。