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依存愛-彼と過ごした3000日-

第1章 夜暁


「でも、全然、携帯、ならなかっ…………」
「知らねーよ」


『ふられちゃった』
のあと。
すぐに。
『大丈夫?』
のメッセージ。

「全然既読になんねーし、ちょっと心配になって。早めに彼女家に送ってったんだよ」
「嘘」
「電話しても出ねーし、こんなとこで何してんの。風邪引くよ?」


来てくれた。
しーちゃん。

花のとこ、来てくれた。

「大丈夫か?」


滑り台の下でうずくまる私をのぞきこんで。
頭ポンポン、て。


「ん?」


うずくまるまま見上げる花に、にっこり笑って。

「おいで?」

両手を広げてくれた。


「しーちゃん」

ぎゅーってしーちゃんに抱きつくと。
しーちゃんもぎゅーって、抱き締めてくれた。


しーちゃんの、匂い。
温もり。


大好きなしーちゃんに包まれて、たくさんたくさん、泣いた。




「お前、もしかしてずっとここいたの?」
「え」
「そんな薄着で、寒くなかった?」


左腕で花を抱き締めてくれたまま、しーちゃんは着ていた上着を脱いで。
花にかけてくれた。


「花、氷みたい」


「あ、ごめん」


パ、って。
反射的に離れようとした花をもう一回腕の中に閉じ込めて。

「コート取られたし、花が離れたら俺が寒い」
「あ、ごめん。コート、脱ぐよ」
「ばーか、冗談だろ。お前ん家、早く入ろーぜ」


そう、笑ってくれたんだ。











「あれ、サイレントになってる、なんで?」


外の寒さが嘘みたいに。
暖房のきいた部屋はすこぶる、暖かい。


「俺が知るわけねーだろ」

いつ、サイレントにしたっけ。


「ごめんね、こんな時間に。ライン、大丈夫だった?」
「ん?平気」







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