第1章 夜暁
「さむ…………」
上着もなしに外にいるのはさすがに寒くて。
見送ってすぐに足は自分の部屋へと向いた。
……………はずだったんだけど。
頭の中と体は全然別だったみたいで。
ボーッとしながらも、向かったのはアパートの隣の小さな公園。
「しーちゃん……………」
あんなに大好きだったはずの彼と別れてまだ1分もたってないのに。
浮かんだのは、しーちゃんだけ。
大好きだったはずの彼と別れても。
出てきたのは別の男の名前。
あんなに大好きだったはずなのに。
こんなとき。
思い浮かぶのは、彼じゃない。
自分の思考回路が嫌になる。
まだ、8時前。
今は最愛の彼女と、いる時間。
私の連絡は、スルーされる。
だけど。
『ふられちゃった』
すぐに既読にかわる、文面。