第1章 夜暁
「………………え」
『疲れた』
彼にそう、言われたのは。
不定休の彼との時間を少しでも増やしたくて始めた、同棲から半年。
「………………別れて」
付き合って、1年。
19歳の、冬。
そろそろ街が浮かれ出す、まだまだ寒い夜空の下。
私たちは、終わった。
「…………………………」
彼が疲れていても。
愛されていることに甘えて彼を癒してあげる存在になれなかった。
こんなに大好きなのに。
彼に気持ちを伝えなくなってた。
だけど。
ほんとに、大好きだったの。
今さら何を言っても信じてもらえないかもしれないけど。
大好きだったの。
すごくすごく、大好きだったんだよ。
もう2度と来ることのない、彼の車を見送りながら。
あっけなく終わったこの関係に。
涙さえ、出てこなかった。