第1章 夜暁
「しーちゃんは、特別なの」
「……………どこにそんな魅力があるのか、不思議で仕方ないよ」
「花も」
「は?」
「花にも、なんでしーちゃんから離れらんないのかわかんないんだよね」
彼のことは、大好き。
一緒にいたい。
大切だし。
だけど、しーちゃんの手も、手放せない。
欲張りな花は、きっといつかバチがあたるね。
だけど。
こんな花でもね。
彼のこと、しーちゃんなんて忘れるくらいに大好きだったこともあったんだよ。
全身で甘やかしてくれて。
優しくて。
ごはんも作ってくれるし。
時々しか出来ないデートも、いろんなところに連れてってくれる。
何もかもが不馴れな花にとってさ、夢中にならない理由の方がないわけで。
もうほんと。
毎日が彼一色に染まってたんだよ。
でも、ね。
そんなの、しーちゃんが許すはずもなくて。