• テキストサイズ

依存愛-彼と過ごした3000日-

第9章 迷い


「花好みのはずだよ?」

苦笑しながらも、優生は『どうぞ』とばかりに頷いて。
キッチンからはお茶とサラダを持ってきてくれた。

「わぁ、デミグラスだぁ」

すごーい、お店みたい。

「今日はどーしたの?いつにもまして紳士感半端ないよ?」

オムライスをスプーンに掬い、口に入れようとしたところで。

「今日、花誕生日なの、ほんとに忘れてんの?」


「え」



ピタリと。
動きが止まった。


今日。

3月、25日。


「あ…………」


そっか。


誕生日。


「………………忘れてた」


自分の誕生日なんて全然頭から抜け落ちてたよ。


……………もしかして。


「今日って、有休?」

「はい」

「わぁ、ごめん。花、夜勤なんてしちゃったし、しかも寝ちゃって。せっかく休み取ってくれたのに」


オムライスを食べる手を止めて。

両手を顔の前で合わせた。


「昨日、夜勤って言ってたし、忘れてんのかな、とは思ったけど、まじで忘れてたんだ」

「ごめんなさい」

「いーよ別に、謝んなくて」

「でも、ごめん」

「オムライス、覚めるよ?」

「……………うん」


自分の誕生日なんて、イベント感マックスの行事忘れちゃうなんて、最悪。
しかも相手に休みとらせて自分は仕事とか、あり得ない。

駄目だなぁ。

ほんと。


最低だ、私。
/ 256ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp