第9章 迷い
『花、愛してる』
「花も。しーちゃん愛してるよ」
『知ってるよ』
うん。
しーちゃんがいれば、なんにもいらない。
ずっとずっとこうしてたいなぁ。
『花、俺は?』
「え」
『やっぱりそいつのがいい?』
「ゆ、う」
あれ。
なんで。
優生がいるの?
『やっぱり忘れらんないんだ』
「違う、優生……っ」
『花、おいで?』
「しー、ちゃ」
『花』
何、これ。
なんで。
『………もういい』
「優生?」
『誰かと共有する気、ないから』
「優生」
『バイバイ、花』
優生、待って!!
違う。
しーちゃんとは……っ
違う?
違わない。
私、しーちゃんとも関係もってるじゃん。
違わない。
立派な浮気。
優生をひき止める権利、ないじゃん。
『花』
「しー、ちゃん?」
『ごめん花、誰かのものだから花にちょっかい出してたのに、別れたならもういいや』
「え?」
『嫁さんも子供も大事だし。花もわかってるでしょ。はじめから遊びじゃん、こんなの』
「しーちゃん?」
『バイバイ、花』
待って!
しーちゃんやだ。
行っちゃやだよ。
優生、ごめん。
ごめんなさい。
無理。
ひとりでなんて、無理だよ。
『自業自得でしょ』
「み、お?」
やだ。
嫌だ。
こんなの夢だ。
夢だ夢だ夢だ。
嫌。
「………花?」
嫌だ。
こんなの、耐えられない。
「花」