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依存愛-彼と過ごした3000日-

第9章 迷い


「ごめんね、ありがとう」
「目、覚めた?」
「覚めた」


タオルを肩にかけたままで、ソファに腰かけると。

隣に座った優生の手にはドライヤー。

「あっち向いてて」


「どーしたの、なんかいいことあった?」


優生に背中向けると、腰まである長い髪に暖かい温風と、ドライヤーの音。

「別にいつもどーりだよ。髪、だいぶ伸びたね」

「うーん、そろそろ切ろうかな」


自分以外の人に、乾かしてもらうのって気持ちいい。


「今日どーしたの?今日定休日じゃないよね?」

「んー?」

髪に触れる優生の指先に意識が集中しちゃう。

頭がボーッとしちゃうから、会話を続けたいのに。
だめ。
意識が、引き込まれちゃう。



「やっぱり眠い?」
「んー、ドライヤーが気持ちくてヤバいかも」
「はは、いいよ寝ちゃっても」
「んーん、おきてる……」
「花?」
「………んー?」


あー。
駄目かも。
これ以上、無理だ。

「……だい、じょぶ」
「には、見えないなぁ」


優生の声を遠くで聞きながら。


「いいよ、寝ちゃって」
「んー」
「おやすみ」



意識が深い深い闇に飲まれていった。
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