第8章 甘い蜜の、対価、代償
えーと。
「綾瀬さーん、8時ですよー」
まだまだ8時にはほど遠い時間ではあるけど。
耳元でそう低く囁けば。
「………………やっば、遅刻!」
一瞬にして飛び起きたその反応に、思わずにんまり。
「……ありがと」
私の反応に、頭を抱えてため息はく優生に。
「どーいたしまして。」
どーしよう。
にやにやが止まらない。
朝から面白いの、見ちゃった。
「花は?今日休み?」
「んーん、夕方から」
慌てて着替える優生をみながら、ベッドに潜り込む。
「家帰るの?」
「時間ないからこのまま行く」
「昨日と同じスーツだよ?」
「これしかねーもん」
「花、送ろっか」
「仕事は?」
「送ったらまた寝るから」
「じゃ、よろしくお願いします」
「朝からかわいいの、見れたからお礼はいいよ?」
「………………」
複雑な表情の優生に、もう1回ケタケタと笑った。
車で優生の会社まで送って、家についたのは8時。
冷蔵庫のミネラルウォーターを喉に流し込んで、ベッドに潜り込んだ。