第8章 甘い蜜の、対価、代償
「男はね、頼られたいもんなの、守ってやりたいもんなの。花みたいな子、男からしたらまじ守ってやりたい子ナンバーワン」
「それはないよ」
「なんで」
「そんなの言われたことないもん」
「まぁ、あんま言わない、と思う」
繋いでいた手を引っ張られて、優生の胸の中。
頭のてっぺんに、キス。
「それ、よくやるよね」
「んー、ほんとはちゃんとしたいんだけど、かなり屈まないと花とはキスできないから。こっちがいちばんしやすい」
「………………っ」
さらっとすごいこと言ったの、気づいてますか?
「ご、ごめん、なさい………っチビ、でっ」
動揺してんの、バレバレ。
「まぁ、この身長差もけっこう気に入ってるけど」
動揺をおさめたくて、顔ごとそむけると。
そむけた顔ごと、優生に捕まった。
目の前に、ニコッと笑った優生の顔。
咄嗟に目をぎゅーっと閉じると。
予想どーり唇にお酒の味。
すぐに離れていったそれに、また体温が甦る。
「ここ、外……………っ」
「うん」
うん、……って、それだけ?
「だから、早く帰ろうか」
「え」
繋いでいた掌から、熱が伝わる。
「さすがに外だと風邪引かせちゃうしな」
「な……っ、え!?」
「顔赤いね。何考えた?」
「な、に……っ」
「よし、じゃぁ花もその気みたいだし、早く部屋に行こう?」
「いや、え?」
「ほら、風邪引くよ?」
ち、ちょっと待って。
何。
どーしちゃったの、優生。