第8章 甘い蜜の、対価、代償
「最低」
鏡の中の、自分の顔を両手で叩く。
「しかも嫉妬、とか。バカみたい」
私にそんな権利、あるはずないのに。
「最低」
優生は、ほんとに爽やかに。
人を引き付ける。
あの笑顔は、人の心をこじ開けてくる魔法みたい。
癒される。
「はぁ…………」
大きくため息ついて。
トイレのドアを開けると。
「………………………っ」
女子トイレのドアの真横に、堂々と寄りかかってるこの人には、見覚えがある。
「『はじめまして』」
やっぱり。
気のせいなんかじゃなかったんだ。
「…………………」
「そんな顔しないでよ、かわいい顔が、台無しだよ?」
澪の結婚式であった、しーちゃんの、『友達』。
私としーちゃんの関係を、しってる人。
「………」