第8章 甘い蜜の、対価、代償
「あんま煽んないでもらえます?」
そう言ってグラスから一口喉にお酒を流し込む優生。
「やっぱり」
少し顔を歪めて。
先程届いた花の烏龍茶を一口、口に含むと。
「これ、ベースワインですよね?めちゃめちゃ強いじゃないですか」
「あれぇ?そうだったかな?」
「花も挑発のらない」
「飲めるよ、私」
「駄目」
「なんか意外だね、綾瀬くん」
「?」
意外?
「仕事と雰囲気全然違う」
「そうですか?」
先ほどのお酒を飲みながら、しれっと答える優生に視線をチラリと向けてから。
目の前で組んだ手の甲に顎を乗っける女性へと、視線を向けた。
明らかにこれは。
この優生に向ける視線は好意、だと思う。
「彼女のビール飲んであげちゃうし、お酒飲ませないし。意外と独占欲強いんだ?」
「え」
それ、しーちゃんも言ってた。
「まぁ、そうかも」
「え」
否定しないの、そこ。
思わず顔に熱、集まっちゃったよ。
「残念、清水、お前の負けだって」
「岩田さんっ」
「すっごい溺愛っぷりだな綾瀬」
「まぁ、片思い歴、長いですからね」
「えぇっ!?」
片思い?
いつ?
いつ?
長いって?
「……なんでそこで花が驚いてんの」
「いや、だって」
ますます顔、赤……。
しかもなんでみんなして爆笑?
地味に恥ずかしい感じ。
これ。
「花?」
「………もう、お願いだから変なこと言わないでください」
「なんで?」
「なんでも」