第1章 夜暁
「この前さ、結婚式だったんだって」
「ん?」
「ほら、明け方、結城が来たって」
「……………ああ、うん、知ってる」
勤務が不規則なこの仕事。
たまに更衣室で偶然会うか、お昼休憩の時に運よく重なるか。
そのくらいしか仕事中に澪と話す機会なんてないし、会わないときはほんと、会わない。
「次の日もしーちゃん来たもん」
あの日。
『結婚式がこの近くでさ、家帰るよりこっちのが近かったし、酔い冷ましに寄ったんだよ』
なんでもないように、笑いながらしーちゃんが話してたから。
「…………あんたいいの、それ」
「何が?」
「仕事の日にさ、明け方急に来て、勢いのままやらせちゃって」
「仕事ならしーちゃんだって仕事だったよ」
「あんたとあいつは違うでしょ」
「なんで?」
「しかも連日とか、あり得ない」
「夜勤だったし、大丈夫だよ」
澪とは。
そんなわけで今日、たまたま重なった休みでランチ来てるわけなんだけど。
どーゆーわけか。
澪はよく、と、ゆーか、最近ため息しかつかない。
「あんたたちさ、どーしたいわけ?」