第1章 夜暁
『大好き』。
……………………………。
………………………。
「………………」
また、夢。
あれは、しーちゃんと付き合いだしたばっかの、頃。
よく明け方までドライブしてたっけ。
ふたりでよく。
明け方に浮かぶ下弦の月を見てた。
私たちが逢うのは。
あの頃も今も。
月の照らす時間。
気付いた瞬間。
自嘲的な笑みが無意識に漏れた。
今の私たちは。
太陽の光は眩しすぎて、堂々と外なんか歩けないんだから。
数時間前までここにあったはずの彼の温もりは。
今はもう、冷たくなっている。
今は。
現実に戻ったこの時間は。
彼はパパで。
夫で。
私の全然知らないところで、あの笑顔を家族に向けているはずだ。
今日は日曜日。
あたしの知らない、彼がそこにはいるんだ。