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依存愛-彼と過ごした3000日-

第7章 『混濁』


「そんなこと、知ってたよ?」



花はどーやったってしーちゃんの一番にはなれない。
花がどんなに愛してたって。


しーちゃんの中には花はいないもん。




はじめから、そんなことわかってた。



わかってたよ。



「花」



わかってた、けど。



苦しい。



改めて、そう言葉にされると、言葉として認識しちゃうと。


苦しいよ。





「今ならまだ大丈夫だよ花。綾瀬さんとこ、戻れるよ。結城とは会わないって、なんもないって言ったばっかだよ?」


職員専用の出入り口は、駐車場が目の前にある。
おかげで、車の音で心臓の音がかきけされた。


「うん、言った」





だってそれはもう、会えない、って、思ったから。




「綾瀬さんは?また傷付けるの?」
「…………」





また、傷付ける……。



優生。




ぎゅ、と、目を閉じた。



わかんない。
優生は、大事。
大切。
なくしたくない。


だけど。
だけど。




………会いたい。



なんにも考えないで。
なんにも、結果だとか感情だとか。
そんなのなんにも考えないでいいなら。



会いたい。



やっぱり私、しーちゃんに会いたい。




「今どっち選択した?」
「え」
「決めた顔、してる。どっち選んだ?」


「……━」





「花!!」




両肩に、さくらの掌が触れる。



「ご飯行こう?さっき行くって言ったよね?」
「うん」
「花」



安堵したように表情を緩めるさくらから、一歩後退。



「花?」








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