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依存愛-彼と過ごした3000日-

第1章 夜暁




「花、空、見てみ」
「空?」
「まだ月が残ってる」
「月?」
「そう。明け方まで残ってる月を、暁月。こんな夜を、暁月夜っていうんだって」
「あか………何?」
「あかつきづくよ」


なんだか、舌噛みそう。


「花はなんにも知らないんだな」
「しーちゃんが物知りなんだよ」


「満月の後の、下弦の月はこうやって、明け方に見えるんだよ」
「そうなんだ」
「三日月とかの、満月の前の上弦の月は逆に、見えなくなっちゃうんだよ。夕方ころ見えるんだ」
「すごい、しーちゃん」
「月の満ち欠け、勉強しなかった?」
「覚えてないよぉ」
「有明の月、とか、残月とか」
「有明の、なら、聞いたことあるよ」
「それだよ」



「………………でもさ、せっかく出てきたのに、もーすぐ太陽が昇ったら見えにくくなるね」
「だな」
「なんか、可哀想」
「なんで?」
「ちゃんといるのに、太陽の光に邪魔されちゃうなんて」
「そう?」
「うん。花は、朝日よりも、頑張って真っ暗な闇夜を照らしてくれるお月さまのが好きだな。この、アカヅキヅクヨ?の月も、綺麗。大好き」



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