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依存愛-彼と過ごした3000日-

第7章 『混濁』


「なにそれ、いきなり修羅場?」


あからさまにそんな面倒そうな顔するくらいなら、はじめから聞かないでほしいよ、澪。


「あんな優生が怒ったの、はじめてみた」

「そりゃ、自分の彼女が浮気したら、誰だって怒るでしょ」

「澪!」


ここ、職場。

浮気とか言わないでよ。

「聞いてないよこんな時間に誰も」



そりゃぁそーかもしれないけど。
ここは更衣室。
誰が入って来てもおかしくないんだから。


「何何?誰が浮気したの?」

「さくちゃん」





……ほらいた。




そういえば残ってたっけ、さくちゃん。



さくちゃん、さくら、は。
同期入社の新人組。
花とさくちゃんが同じ、で、澪だけ違う。
だけど食堂やなんかで顔合わせるうちにいつの間にか仲良しさんだ。

「澪ちゃん、結婚おめでとう。二次会誘ってくれたのにごめんね?」
「ううん、こっちこそもっと早くさそえばよかった。シフト出たあとだったからね」
「で?何?花が浮気したの?」

興味津々で聞いてくるさくらにぐいぐいと押されて。
また更衣室へと逆戻り。
つまり、着替え待ってて、と。
そーゆーこと。



「結城と浮気したの、綾瀬さんにバレたんだって」
「澪!」
「いいじゃん別に」

同期に恥晒さないでよ。

「え、修くん?まだ切れてなかったの?」

「結婚式で再会しちゃったみたいだよ」


勝手に話を進めるふたりから視線を外して。
ぷい、とロッカーへともたれ掛かる。


「えぇ、最悪。修羅場?それ?」

さくらの視線は首もとの大きなバンソーコー。

「あれは、たぶん結城でしょ」

「えぇ、最悪」

「勝手に話作んないでよ」


「花、それみんなにバレバレだったよ?」

さくらの言葉に首もとに両手を当てて、顔から火が燃え上がった。

「だめだよ、そんな見えるとこ」

「ち、違う…………これは………っ」


「ん?」


しーちゃんじゃない、けど。

けど。


どう言えばいいの?



「何?真っ赤だけど?」

「大丈夫?」



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