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依存愛-彼と過ごした3000日-

第7章 『混濁』


「しーちゃん、子供生まれるんだよ?」




被せるように言葉を発すれば。
澪の攻撃がやんだ。
隣で、言葉を詰まらせる気配がする。




「パパだよ?」




バタン、と、ロッカーを閉めて隣の澪へと向けた視線。


「だから、なんにもないよ」




あるわけない。
きっともう、会うことだってない。






「あの男なら子供産まれても、関係なしに女遊びするよ」

「………」



ひどい言われよう。
ごめんしーちゃん、否定出来ない花を許して。

「だいたい、結城が花になんにもしないわけないじゃん」
「トイレでなんて何もしないよぉ」
「なんでワザワザ男子トイレなんてとこからふたり仲良く出てきたの」
「あれは、急にしーちゃんに連れ込まれて」

「連れ込まれてんじゃん」

「でも、何もないから」


更衣室を出てすぐの鏡の前。
身なりを整えながら鏡の中の澪と、視線がぶつかった。

「………………キスくらいは、した?」

「…………………っ」


咄嗟のことに、手にもってたグロスが滑って大きな音が響く。


「正直だね」


「…………………」



満足そうに笑ってる澪を、一睨み。


「それ、逆効果。よく言われない?」

「え?」

「何でもない。そんな正直で、よく綾瀬さんにバレないね」


澪の言葉に、再度停止。

真っ赤になった顔が、一瞬で青ざめたのが自分でも自覚できる。

「え」

「………………バレました」

「は?」

「しーちゃんの顔バレも」

「は?」
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