第6章 嘘と隠し事の、境界線
寝ちゃったんだ。
寝ないで仕事してきたわけだし、疲れてるよね。
にしても。
ソファに座ったとたん、秒殺。
よっぽど疲れてたんだよね。
寝室から毛布を持ってきて、かけてあげると、無意識に手を伸ばして毛布の中で丸くなる。
かわいい、かも。
写真撮ったら怒るかな。
そのあと、サラダを簡単に作ってカレーも十分煮込んで冷まして。
優生がおきるまでソファの下のラグに座ってテレビを見ることにした。
確かに。
パチパチまわしたくなるような番組ばっかり。
まだ7時前ってこともあって、ニュースばっかり。
ニュース見るのも大事だけどね、あんまりニュースは正直見ない。
「…………………わ、ぁっ」
テーブルに頬杖ついてリモコンをパチパチやってたら、
後ろから伸びてきた手に頭ごと引っ張られた。
「……………起きてたの?」
ソファの上に、頭だけ乗っかってる状態。
けっこうこの体勢、辛い。
「ごめん、寝ちゃってた」
「大丈夫だよ、疲れてる?」
「がっつり寝たからけっこう元気」
「とりあえず、首、痛い」
「あ、ごめん」
ぐりんと後ろにまわした首を、正面に向けてから、1度深呼吸。
「ごめん、大丈夫?」
「…………………ごはん、出来てるよ?」
敢えて優生の質問には答えずに、立ち上がる。
「肉なしカレー?」
「買い物行けないもん」
「…………その格好、昨日から思ってたけど、ヤバイよね」
「だって着替えないんだもん」
「そうじゃなくて」
サラダを両手に持ちながら、カレーをよそる私の頭に軽くキスをして。
「彼シャツじゃなくてTシャツも、かわいいな、って」
「?」
キョトンと目をパチパチさせてると。
「そーゆーとこ、かわいいって言ったの」
『花はそのままで、かわいいよ』
いつだったか、そう言われたことを思い出した。
「花?」