第6章 嘘と隠し事の、境界線
もう、優生を傷つけたくない。
体に巻いていたタオルを外して、下着を着ける。
その上から、優生のTシャツをまた羽織直した。
目の前の鏡に視線をうつすと。
首筋にも、Tシャツから見えるところにも。
真っ赤な華の、所有物(しるし)。
「……うそ」
そっと胸元から肌を覗き込めば。
そこには無数の同じ赤い華。
「なに、これ」
年甲斐もなく付けられた所有の印。
さすがに隠せないくらいのものまで混在していて。
「……………………っ」
目立ちすぎる。
制服じゃ下にタートルを着るわけにもいかないし。
どーやって隠せばいいの、これ。
ゆうの、ばかっ。