第6章 嘘と隠し事の、境界線
ガチャン
ガチャガチャ
って、ドアのあく音が遠くで聞こえる。
あれ。
私あのまままた寝ちゃったのか。
視線だけで時計を見やれば。
お昼、すぎ。
………喉、渇いたな。
でもまだまだ怠い体を起こす気にもなれなくて。
まぁ、いいか。
とか、勝手にひとりごちて再度目を閉じた。
けど。
「まだ寝てんの?」
いるはずのない、人物の声で意識がはっきりと浮上してきた。
「具合悪い?」
心配そうに額に手をあてる人物は、紛れもなく優生で。
思わず窓の外へと視線をうつす。
お昼過ぎだと思ってたけど、もしかして夜?なんてバカみたいなことを一瞬考えたからだ。
だって。
この時間は仕事のはず。
「熱は無さそうだな。もう1時だよ」
私の視線に気付いた優生が、そう言ってテーブルに置いた紙袋に手を伸ばす。
「昼休憩だから、またすぐ戻んなきゃだけど、食べれそうならこれ食べて」
腰の痛みを少し感じながら、なんとか上体を起こして。
優生の渡してくれた袋をのぞきこむと。
ゼリーにヨーグルト。
オニギリ、サンドイッチ。
冷たいお茶。
「こ……………っ」
いいかけて、思いきり咳き込むと、優生が優しく背中を擦ってくれた。
「やっぱり、体調よくない?昨日、体冷やしすぎたかな、ごめん」
確かに。
体のだるさがいっこうに抜けない。
「安静にして、ちゃんと寝てて」
まぶたも重い。
けど。
さすがにそろそろ起きないと夜眠れなくなりそう。
明日は仕事だし。
「も、おきる」