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依存愛-彼と過ごした3000日-

第6章 嘘と隠し事の、境界線



唇の隙間から、強引に浸入してくる舌に押されて。

そのまま、ベッドに倒れこむと、ベッドのきしむ音がリアルに響いた。




隙間がないくらいに、密着した体が、重い。



空気を取り込もうと、必死で開いた唇ごと、また奪われる。




熱い。

苦しい。



逃げようにも、ベッドと優生の体に挟まれて、身動き取れない。




「………………っ」




一瞬だけ、開放された唇から、思いきり空気を吸い込むと、また、唇が重なる。




呼吸が苦しくて、手足をバタバタさせると、今度は唇を開放してくれないまま両手ごと押さえつけられた。



呼吸が限界になると、優生は少しだけ唇を放してくれる。
その隙に空気を取り込んで、またすぐに唇が重なる。



何回か繰り返されると、頭がボーッとしてきて。



抵抗する力も、なくなってくる。
何かを考える余裕すら、なくなってくるんだ。





おとなしくされるがままになってると、ようやく唇が開放された。



求めてた空気が、肺に流れ込んでくる。




「花、呼吸止めてんの?」



「え?」



ボーッとしたまま、花を見下ろす優生を見上げる。



「苦しかった?」



可笑しそうに笑う優生の笑った顔を、ただ下から見上げるしかできない。



なんにも考えられなくて。
動かせない手足をベッドへと投げ出したまま、視線だけで優生を見た。



「?」




親指で唇をなぞる指先が、顎を軽く押せば、自然と開く唇。
感触を楽しむように、優生はプニプニと唇に触れていく。



「………」
「ゆ、う?」



名前を呼べば。
一瞬ハッとしたように私へと視線を向けると、さっきの表情は気のせいだったのかと思うほど、優生は花に優しく微笑んでくれた。



「キスするときはさ、花。ちゃんと鼻で呼吸しなきゃ」
「え?」
「息止めてたら苦しくない?」

「でも」

そんなの急に、言われても。



「!!」


さっきまで唇に触れていた指先が唇から割って入ってくると。
今度はいきなり、呼吸も吐息も全部奪われちゃいそうな、噛み付くようなキス。

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