第6章 嘘と隠し事の、境界線
冷たいお水を飲みながら。
回りを見渡して見ると。
意外にも自分の寝ているベットが大きいことに気付いた。
あるのは、大きなベッドと、ソファ、テーブル。
大きな、テレビ。
窓のない、部屋。
「ここ、え、なに?なんで?あれ、私、なんで、ここ?あれ?みお、は?澪の結婚式、だったよね?今日」
さらにパニックになる頭の中。
ここがどこだか認識した瞬間、体中の血液が全部顔面に集中した。
「もう昨日だよ」
「え」
「花、なかなか起きないから」
グラスの氷を口に含みながら。
『それ』を私の口の中に、流し込んだ。
「ちょっといたずらしてみた」
「んん」
大きな氷すぎて、溶かすのが大変。
口を開けられない。
「でも、優生、ここ、なんで」
やっと溶かしきった氷を飲み込んで。
優生に向き直る。
「花、けっこう酔ってたし、家まで持ちそうになかったから」
「酔って?ないよね?花、お酒飲んでないよ?」
「ほんと、記憶ないんだ」
「え」
不思議そうに首を傾げる花をベッドに残して。
優生は冷蔵庫からカンジュース?を取り出して、口に含むと。
またそれを花に流し込んだ。
「…………んん?」
なんで、普通に飲ませてくれないの?
もう流し込むの、禁止。
なんなの、このゲーム。
コクンと、その液体を飲み込んだのを確認してから。
唇が離されて。
目の前では不味そうに顔をしかめる優生の顔。
「あっま」
手の甲で自分の口を乱暴に拭ってから。
再び優生はベッドを軋ませた。
「ほんとに覚えてない?」
「え?」
………あれ?
お酒?
飲んだっけ?
同じようなの。
結婚式、で?
「思い出させてあげるからもいっかい、口あけて花」