第6章 嘘と隠し事の、境界線
「起きた?」
「え?」
目を開いて見えるものから状態を理解しようと頑張ってみるけど。
まわりをみても視界にうつるのは全くの見知らぬもの。
「優生」
「うん、おはよう」
唯一知っている馴染みのものと言えば。
横になっている私を見下ろす、いつもと変わらない笑顔。
「ここ、どこ?」
知らない天井。
知らない壁の色。
軽く意識がパニック起こすのはたぶん、絶対許されるはず。
今自分が寝ているこのベッドですら、見覚えのないものなんだから。
勢いよく上体を起こして、今まで寝てた布団に片手をつく。
ふわふわ。
…………じゃ、なくて。
「………………い、った」
勢いよく飛び起きたせいか、頭がぐらぐらと痛みだす。
内側から固いものでガンガン殴られてる感じ。
なにこれ。
「大丈夫?水、飲む?」
隣に座り込む優生の重さで、ベットが少し沈んだ。
「飲む」
優生から受け取ったお水を口に含むと。
冷たい。
さっき、夢の中で感じた冷たさと、一緒だ。
冷たくて、気持ちいい。