第5章 対峙
「大丈夫か?」
「へーき」
ぎゅーって首もとに抱きつくと。
「花!?」
優生が立ち上がった勢いで体が宙に浮く。
「…………わ、ごめん、花。大丈夫だった?」
右手で花の腰を支えてくれた優生と、至近距離で視線が絡んだ。
「へーき、だよ?」
ふわふわする。
すっごく、気持ちいい。
「あーあ、綾瀬さん、飲ませた?」
「みおだぁ」
よく聞き馴染んだ声に振り替えると、だいすきな澪がいて。
勢いよく今度は澪の首もとに抱きついた。
「花、花苦しい」
「こんな酒癖悪いとは思わなくて」
「本人は記憶なくしちゃうからね、飲んだこと覚えてないから、余計厄介」
やんわりと花を首から離して。
澪はため息付きながら、優生へと向き直った。
「前短大の時に飲ませた時も、こんなでしたよ」
「これ、かなりやばいんだけど」
「無意識なのが質悪いでしょ。起きたら全部忘れてんだよ。何人の男泣かせたことか」
「え、そんなに?」
「……………すみません、失笑前提なんですけど」
「冗談に聞こえないから」
「すみません」
「……………」
いい匂い。
お腹、そーいえばすいたかも。
うーんでもこの靴、痛い。
裸足でも、いいかな。
パタパタと裸足でケーキをお皿に取り分けていれば。
何人か知らない男の人が、声をかけてきた。
「どーしたの?」
「ひとり?」
その中のひとりが飲んでるドリンクに目がいって。
視線を送ると。
「これ?飲みたいの?」
コクンと頷くと、その人は同じドリンクを注文してくれた。
青くて白くて、シュワシャワしてる。
きれい。
「ありがとう」
にっこりとお礼を言って戻ろうとするけど。
「かわいいね」
「一緒に飲まない?」
後ろから声をかけられた。