第5章 対峙
「ほんと、大丈夫だから」
お願い。
早く放して。
足の痛みより、この状況のが限界だよ。
「少しここで休んでたら」
ヒールをきちんと履かせたあとで。
隣に座りながらそう笑う優生に少しほっとした。
「うん、そーする」
まだ少しみんなの視線が気になるけど。
こんなヒール履いてきた自分が悪いんだし。
優生は心配してくれただけだし。
ちょっと、びっくりしたけど。
別にそんな意識することもないのかな。
しーちゃんも優生も、行動が突然過ぎて、時々ついていけない。
みんなの前で、大胆すぎるよ。
「飲み物もらってこよーか?」
「うん、ありがとう」
立食パーティのテーブルに向かう優生の背中越しに。
しーちゃんと、目があった。
今の、見られた…………よ、ね。
友達と話してるらしいしーちゃんの表情からは、考えが読み取れない。
話ながら、しーちゃんは私から視線をはずす。
はずされた視線の先は、優生。
時々相槌を打ちながらも、優生から視線は外さないしーちゃんに、小さく心臓が鳴る。
『何もしないよ』
しーちゃん、そう言ってたけど。
変な緊張がまわりの空気を支配する。