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依存愛-彼と過ごした3000日-

第5章 対峙


「どーゆーこと、これ」



「………………ごめん、澪」




二次会に遅れて到着した澪の第一声。




偶然にも、新郎新婦の到着と優生の到着がほぼ一緒になった。



新郎である藤崎さんに挨拶をしている優生の姿を視線にとらえながら、澪は私の耳元で、そう囁いたんだ。



「……………旦那さま、かなりびっくりしてるねー」



あはは、なんて渇いた笑いを浮かべてみるけど。

全然無意味。




「だって、急に電話あって。澪いないし、来たら言おうと思ってたら、まさか一緒に到着するなんて思わないでしょ?」

「人の結婚式で修羅場とかやめてよね」

「ないない、ないよ」




慌てて両手を目の前で交差する。



「結城と何があったか、知らないけど、絶対、バレちゃだめだよ?」

「そっちも、ない。なんにもないよ、ほんとに」

「トイレから出てきたの見た」

「あれは…………っとにかくなんにもないよ、澪の思ってるよーなこと、なんにもないから!」



「何がなんにもないの?」




「ゆ…………う………っ」




急に背後に立たれて、思わず体が跳び跳ねる。



「び…………っくり、した」



「そんなびっくりする?俺に聞かれたからまずいこと?」

「ち、違う、けど」



内容が内容だけに、心臓に悪い。



「花が、ナンパされまくってた、って話です」



澪がにっこり微笑みながら、優生に向き直る。



「主役の私よりも目立ってたんで、浮気だ、ってからかってたんですよ」

「み、澪」




咄嗟の気転に。

感謝。



「澪ちゃん、結婚おめでとう。仕事早く終わったから、参加させてもらったんだけど、大丈夫だったかな?」

「ありがとうございます。大丈夫ですよ。花の為に早く終わらせたんでしょ?こんな中に花置いとけないですもんね」

「澪ちゃん、鋭いね」

「長年この子と一緒でしたから」



今たぶん私、ディスられてるよね?



「みーお」



「ごめん、澪、こんなとこいちゃ駄目だよね」



遠くから、澪を呼ぶ声。

今日の主役。

いつまでも独占するわけいかない。



「ごめん、綾瀬さん、ごゆっくり」

「じゃーね」





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