第5章 対峙
やっぱり、怒ってる。
早足で歩くしーちゃんに引っ張られて、足がもう限界。
引っ張られた腕が痛い。
「しーちゃん、ごめんなさい」
思わず思いきりそう叫ぶと、急にしーちゃんの歩みが止まって。
バランスを崩した足元は、そのまま地面へと投げ出された。
「なんで?」
助け起こしてくれるわけでもなく。
転んだ私の視線に合わせたしーちゃんが、私をのぞきこむ。
「なんで、あやまるの?」
「…………………え」
「なんで、花があやまるの?」
「だ、ってしーちゃん、怒ってる………」
「怒ってるよ」
そう言うしーちゃんの声は、さっきの低い声じゃなくて、優しい、声。
「俺以外の男に、簡単に触れさせてんじゃねーよ」
え……………………?
右腕を捕まれて、勢いよく引っ張り起こされる。
「花に触れていいのは、俺だけ、だろ?」
な、に?
こんな独占欲、今までなかった。
私に彼氏ができても、私が誰と遊んでも、無関心、だったよね?
なん、で?
「返事は?花」