第4章 再会
「………………っ」
耳元へと捩じ込まれた吐息混じりの囁きは、ダイレクトに耳から脳まで犯していく。
ついでに耳の中へと押し込まれた生暖かいそれは、ピチャピチャと音を立てて、私の神経までも、支配するのだ。
「ん……っ」
弄ぶようにピチャピチャと水音を響かせていたそれが不意に、耳たぶに歯をたてられて、一瞬声が、漏れた。
「……っ」
そのまま、気を良くしたのかしーちゃんの手は壁へと着いたまま、動きを封じるように体が密着して。
生き物のように首筋を這い回る舌に、全身の力が抜けていく。
「しーちゃん、やだ」
崩れ落ちないように必死で両足へと力を入れても、今私の体を支えてるのは間違いなくしーちゃんの右膝だ
「しー、ね?」
弄ぶように、舌全体を使って、あたしを愛撫する。
背中のファスナーが下ろされる音で。
頭の中で、赤信号の光がチカチカと点滅した。
「しー、ちゃん、お願い、やだ」
ファスナーが下ろされれば。
しーちゃんの右手が簡単にその体を乱していく。
首から肩へと、唇が触れた。
「しーちゃん」
これ以上ドレスが乱れないよう両手でドレスを掴んでも。
それを拒むようにしーちゃんが右手を重ねた。
「花」
うつむいていた顔を、しーちゃんの左手が上を向くよう誘導する。
逃げられない口付けを、瞳を閉じて受け入れる、けど。
これ以上進入してほしくなくて。
必死で、唇を噛み締めた。
「そんなに噛んだら、血、出るぞ」
ふ、って、笑う気配にそっと瞳を開ければ。
親指が唇をなぞっていくその感覚に、ぞくぞくと何かが下腹部から這い上がってくる。
「しーちゃん、お願い…………」
『離して』
って続くはずの言葉は、しーちゃんのキスに飲み込まれた。
話すために開いた唇から、舌が進入してきて。
息もできないくらいの甘い口づけに、全身の力が脱力していくのがわかる。
さっきの強引なのとは全然違う。
すごく優しい、キス。