第4章 再会
結婚式、当日。
真冬の寒さも落ち着いてきた、3月中頃。
それでも今日は、外はコートなしじゃ歩けないくらい寒い。
おかげで、首に巻いたモコモコストールが不自然にならずに助かったけど。
外は極寒でも、式場の中は天国。
ドレス1枚でも、平気でいられるくらいの温度感。
控え室は、親族のみしか用意されていないようで、大きな広間に出席者は集められている。
立食形式で、アルコール、ソフトドリンクが自由に飲めるようになっていて、クッキーやラスクなども出してくれた。
ほとんどが澪の高校の友達か地元の友達みたいで、完全にアウェイ感半端ない。
澪の友達よく知らないし、覚悟はしてたけど。
「!?」
式の時間までにメイクでも直そうとトイレに向かった瞬間。
急に伸びてきた手に、引っ張られた。
……………え
ガチャン、て音がして。
目の前の、白いネクタイを、視線がとらえた。
この、香り。
うそ。
白いネクタイをとらえたまま、体が動かなかった。
声がでなかった。
「花ちゃーん?」
後ろの黒いドアに寄りかかったまま。
少しだけ屈んで。
私と視線を合わせた『彼』。
「びっくりした?」
また、思考回路がストップした。
脳が、役割を果たせない。
体が動かない。
声が、でない。
かわりに。
両方の瞳から。
一筋。
涙が、流れた。