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依存愛-彼と過ごした3000日-

第4章 再会


「……………………」









『結城も来るよ』













「花」







遠くに木霊する、澪の、声。
返事しなきゃ。
なんか、言わなきゃ。
わかってるのに、言葉がでない。口が開かない。







「花?」





『花』



しーちゃんの声が頭の中で、再生される。


はっきりと覚えてる、声。






「花!」



目の前でパチンって、乾いた音。


少し遅れて。
澪が目の前で両手を叩いた音、って、気付いた。



「言うかどうか、迷ったんだけどね」


「あ……うん」


手が震えるのが自分でもわかる。


「藤崎さんと、しーちゃん仲良かったし、そうだよね。来ると、思ってたよ」
「……変な期待、してないよね?」




「してない」







気付かないふりしてたの。
しーちゃんに会いたがってる自分がいること。




気付かないふりして、ごまかしてた。



「花、結城に会っても大丈夫だよね?」
「大丈夫だよ?しーちゃん結婚してるんだよ?もう、何もないよ」


『何もない』



そうだ。

しーちゃん、結婚してたんだ。



違う誰かに、笑いかけて。
ぎゅってして。
優しく頭なでたり、してるんだ。



そうだ。



忘れて、た。


「大丈夫だよ」


自分をごまかすのは、得意だよ。
大丈夫。
泣いたりしないから。


しーちゃんの手を離したのは、私だもん。



「心配しないで、澪」
「花」


「食べよ?」


「…………うん」



大丈夫。

しーちゃんにあったら、ちゃんと笑って、『おめでとう』って言うから。

今度こそちゃんと。










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