第4章 再会
「ふぅん、そっかそっかー。綾瀬さんも意外と肉食だね」
ポカンとしてる私の目の前で、楽しそうにニヤニヤしてる親友の姿。
あれからなかなか予定も合わず、やっとゆっくりランチできたのは式の1週間前。
「綾瀬さんてさ、花と幼なじみなんだよね?」
「そうだよ?」
「付き合ったりとかしなかったんだ」
「うーん、別にそんな雰囲気なかったし」
「なんで?ふたりしてモテそうなもんだけどね」
「花ー?モテないよーっ。告白ひとつされたことないもん。澪みたいにみんなみんなモテたりしないんだよ?」
「………」
「ん?」
「それ、本気で言ってる?」
「?」
「………ふぅん。なるほどね」
5ヶ月に入った澪は、目立ちはしないけどまぁまぁお腹も膨らんできてる。
やっと出来たランチも、やっぱり話すはもちろん恋バナで。
意味深に笑って見せる澪の、先ほどの会話となる。
「結城が初彼とか、ありえないもんね。そんな裏がありましたか」
「どんな裏?」
「そんなに一途に想われて、羨ましいねって話」
「澪だって、来週結婚式じゃん」
「まぁねー」
「何、その返事」
「んー、マリッジブルー?」
思わず吹き出しそうになったお茶を、なんとか耐える。
「なに?」
「5年も一緒にいるとさ、いろいろあんのよ」
「あー、長いよね」
「長すぎてもねー」
「不満?」
「じゃないけど、この子出来なかったら、結婚してなかったのかなーとか思うとね」
お腹をさすりながら話す澪。
だけど、お腹をさする澪の目はもう、立派にお母さんしてる。
「タイミングって、大事だよ?」
「珍しく説得力あるね、花」
「ディスってる?」
マリッジブルー、かぁ。
優生にプロポーズされたことはまだ、誰にも言ってない。
断ったことを、知られるのが怖い。
なんで断ったのか、理由なんて自分でもわかってないのに説明なんてできないから。
「ねぇ花?」
「なに?」
「…………」
歯切れの悪い澪に、ハンバーグを食べる手を止めて向き直る。
「なに?」
「あの、さ」
「うん」
「結婚式、結城も来るよ」