第4章 再会
「俺じゃ、やっぱり役不足?」
「………」
「やっぱり俺のこと、好きになれない?」
好き。
好きだよ。
優生が思ってるより、ずっとずっと好きだよ。
好き、なのに。
「ごめ……………っ」
何が、ごめんなのかわかんないけど。
ようやく飛び出た言葉はそれだった。
「まだよく、わかんない」
「………うん」
「結婚とか、まだ考えてなく、て」
「うん」
ずっとずっと昔から花を見てくれてた優生の気持ちはすごく嬉しい。
『俺じゃ、だめ?』
そんなこと言わせたいんじゃない。
優生をしーちゃんの代わりになんてしたくない。
どっちが好きとか。
どっちが、一番とか。
とっくにそんなこと考えなくなってた。
もうとっくに、優生なしじゃいられなくなってたのに。
しーちゃんのことは。
まだ、忘れらんないの。
しーちゃんに、未練があるとか、まだ好きとか、よくわかんないけど。
でもまだ覚えてる。
しーちゃんの声。
体温。
しーちゃんのぬくもり。
匂い。
忘れらんない。
こんな気持ちで、優生に応えるなんて出来ない。
「嫌いに、なる?」
こんなにまっすぐに気持ちぶつけてくれてる優生に、何も応えられない。
「ならないよ」
「もう少し、時間下さい」
「いくらでも待ちますよ」
「………………うん」
にっこりといつものように笑ってくれる優生に、安心しながらも。
心の中の迷いは消えない。
しーちゃんのことはもう、たぶん『好きじゃない』。
でも好きじゃないと、『嫌い』は違う。
好きじゃなくても、嫌いにはなれない。
優生のことは、『好き』。
でも、愛してない。
たぶん、優生の気持ちと私の気持ちには、すごく大きな距離がある。
しーちゃんの存在がその距離を邪魔してるのを、たぶん優生は気付いてるんだ。
最低。
こんな最低な女、優生に愛される資格、あるのかな。