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依存愛-彼と過ごした3000日-

第3章 砂のお城


「仕事きつい?なんか、また痩せた?」

映画までの時間潰しに入った小さなカフェ。
ゆうちゃんはこうやってよく、心配そうに花をのぞきこむ。


「ゆうちゃん心配しすき。お兄ちゃんじゃなくてお母さんみたい」
「お母さんもお兄ちゃんもやだなぁ」
「あはは、だってゆうちゃん………」
「そろそろゆうちゃんもやめない?」
「え?」

急に真剣になるゆうちゃんの声に、パスタを食べる手を止めて顔をあげる。

「もう『ゆうちゃん』もやめない?」
「……………な、にそんな真剣な顔して」
「もう『お兄ちゃん』じゃないよ」

真剣な表情に、一瞬時間が止まった気がした。
はじめて、見る、表情。

男の人の、顔。

「そ、うだ、ね」

直視、できない。

「花」

「あ、ねぇ、映画まだ時間平気?」


真剣な表情と空気に、反射的に逃げ道を作ろうとする頭。

「花」
「……………」



向かいの席から伸びてきた右手が、花の左手を捕まえる。


「……………」
「ごめん花、気付いてるよね、俺の気持ち」
「…………」
「もう、『お兄ちゃん』じゃないよ」



引こうとする左手に、ゆうちゃんの右手の力が加わる。



「まだ、忘れられない?ボーッとするくらいそいつのこと考える?俺といても、つまらない?」
「え」

「俺なら、花を泣かせないよ」


「………っ」






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