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依存愛-彼と過ごした3000日-

第2章 朔


愛してくれるの?

しーちゃんは、一瞬でも花を愛してくれた?


「花、愛してる」


『愛してる』

しーちゃんにそう言われるたびに、苦しかった。

「花も愛してる」

所詮、こんなの免罪符。


自分たちの罪を逃れるための。

だけど。
愛があるなら、何をしてもいいわけじゃない。
妻と、彼女は違うんだ。


いくら『愛してる』なんで囁いたって。
そんなのもう、免罪符でもなんでもない。

結婚したなら。
子供がいるなら。


それはもう、立派な『罪』なんだ。
免罪符なんて、存在しない。





彼が、免罪符代わりに囁いた愛の言葉を、信じたかった。
愛してる、なんて。
そんなの嘘でも。


信じさせて欲しかった。
全力で。
騙して欲しかったんだよ。



騙してよ。
最後まで、嘘をつきとおして。


『結婚する』
『子供出来た』


いらない。
そんな報告、望んでなんてない。


どうせならずっとずっと騙して欲しかった。
笑顔で嘘ついて。
奥さんにも子供にも愛を囁くその唇で、花にも愛を語ってよ。
最低なままで、どうせなら嫌いになるまで嘘をつきとおして。


「………………っ」


涙は拭っても拭っても溢れてくるのに。
比例するように後悔だけが増えていく。



なんで手を離したの。
笑顔で花を抱くしーちゃんの嘘を、なんで受け止めなかったの。


自分で決めたのに。
バカで都合のいい女、最後まで演じるって。



しーちゃん。
しーちゃん。




やっぱり花は、しーちゃんがいないと生きていけないよ。



まだ残ってるの。
しーちゃんの体温、ぬくもり。
匂い。
全部残ってるんだよ。


なんでいないの、しーちゃん。



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